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「課題解決NPO」から「価値創造NPO」に変わったのが大きな進化でした


海外や国内の社会課題の現場と働く人をつなぐことで、課題解決とリーダー育成の両方に取り組むNPO法人クロスフィールズ。事業規模も組織も急成長している代表の小沼大地さんに、ソイラテメンバーが日頃感じているジレンマについて聞きました。


メインインタビュアー・菊池信孝

編集・狩野哲也


2020年10月16日撮影

ソイラテ菊池「いきなり個人的な質問で恐縮ですが、事業がはじめて大きく成長する最初のきっかけや、グッと伸びるタイミングはありましたか?」


小沼さん「難しいですね。あんまり伸びている感覚はなくて、10年経ってもまだこんな感じかという印象です。ビジネスモデルとして成り立ったのは大きいです。いちばん大きかったのはパナソニックさんとのお仕事です。第1例が成功してメディアに取り上げてもらえました。」


(留職プログラムとは、派遣元企業から新興国のNPOや社会的企業に飛び込み、本業のスキルと経験を活かして、社会課題の解決に挑むプログラムのこと。)


ソイラテ菊池「それは戦略的にわかりやすいからパナソニックから営業に行こうと?」


小沼さん「中小企業からの依頼もあったのですが、ドリームケースをどうやってつくるかが大事だと思って、誰もがよく知るような有名企業にアタックしていました。一例目が出たら日経ビジネスで特集されて、2012年はメディア露出が多くなりました。」


ソイラテ菊池「それはコンサル時代の経験も活きていますか?」


小沼さん「あると思います。要因はグローバル人材育成という文脈をうまくつくれたところにあると思っていて、今でいうSDGs的な言葉があった時に、それにどう事業を当てはめてテイクオフさせるか、これはコンサルだったからか、自分の嗅覚だったからかわからないですけど。コンサルが活きたのは『それをいくらで売るか?』です。強気の価格で売りました。強気のプライシングができたのがものすごい事業的には大きくて、この強気のブランディングは絶対前職コンサルじゃなかったらやってなかった。」


ソイラテ菊池「でもその考えがちょうど良かったんですね」


小沼さん「当時のガッツはデカかったなって思います。それがあったからやっぱり従業員もちゃんと雇えて、質が高いサービスができました。5年目くらいまではサービスが崩れず、クオリティがクラッシュしなかった。それはある程度のフィーがあって、従業員として優秀な人間を雇い続けられたことがでかいです。」


ソイラテ菊池「5年間はクラッシュしなかったですか?」


小沼さん「クラッシュしなかったと思います。そこから大クラッシュはいっぱいしてるんですけど。」


ソイラテ菊池「1回じゃないんですか?」


小沼さん「そうですね、大きくは1回ですけど、やっぱり何回か山はありましたよね。組織として山や谷はありました。」


ソイラテ菊池「一番大きい谷はなんですか?」


小沼さん「一番大きかったのは5年目のタイミングで当時のメンバーがどんどん辞めていく状況がありました。そのタイミングは事業も疲弊していくモデルというか、とはいえ僕らの組織は良くも悪くもめちゃめちゃ優秀な人が入ってくる組織で、結構グローバルに戦えて、コミュニケーションもできる、普通の会社だったら絶対欲しい人が入ってくるんです。 入ってくるメンバーのモチベーションは総じて「やりがい」や自身の成長。給与じゃないんです。だからそういったやりがいや成長を一人一人が実感できる組織づくりが必要でした。

でも組織が10人を超え、案件が増えてくるとそれが難しくなってきた。自分も現場プレーヤーよりマネジメントとして案件に関わるシーン増えるなか、組織の足並みを揃えるのが難しいと感じてました。この状況で事業のアクセルは踏めないと思い、組織の立て直しを図ったんです。その頃がチームとしても、自分自身としても辛かったです。オフィスに行くことすら辛い時期でした。」


ソイラテ菊池「みんなに『何したいんですか』と聞かれた話が記事になっていましたね。なるほど。それって5年目だったんですね。」


小沼さん「そうですね。留職プログラムの参加人数でいうと1人、7人、30人、40人になって、さあいくぞ、のタイミングくらいで、ああこれはブレーキ踏まなきゃまずいなとなりました。それがなかったら100人を超えたと思うんですけど、実力不足でした。」




複雑で曖昧かつ、自由度の高い活動をしている


ソイラテ菊池「メンバーがどこを向いて仕事していいか、何していいか分かんないみたいなところで、ビジョンやミッションを再構築されたのでしょうか?」


小沼さん「そうですね。もしかしたらセオリーオブチェンジとかインパクトモデルにも近いのかもしれないですけど、あの辺りのロジックをある意味で手放したというのがビジョンミッションの再構築でした。


というのも、5年目に僕がメンバーから言われていたのは「留職1件1件が、どんな社会的インパクトに繋がっているか分からない。だからモチベーションが湧かない」「ビジョン・ミッションが曖昧で、いつ世界が変わったと言えるのかが分からない」という声。「社会的インパクトの指標を提示してほしい。自分たちは考える時間もないくらい忙しい」という意見が多かったんです。 


結果、どう答えを出したかっていうと、「メンバー1人1人で考えよう」と手放したんです。クロスフィールズは複雑なことをやっていて、社会的インパクトの捉え方は人によって違う。曖昧で自由度が高いことをやっているし、だからこそ新しい価値を生み出せる。だからこそ、みんなが自律的に考えよう。というふうに、チームの在り方を変えました。」


ソイラテ菊池「へぇ〜、面白いですね。」


小沼さん「理路整然とする、僕はどちらかというとコンサルなので、それをやっちゃう方なんです。キレイなチャートにして、メンバーから矛盾をつかれて、直す。そうするとまた別のメンバーから指摘されて、といたちごっこをしなければならない。 答えを求める、答えを提示するではなくて、曖昧なものを持っておいて、『僕もわからん』と。変わっていくし、これを『僕はこう捉えている、みんなはどう捉える?』というふうに方向性・関係性を変えた感じがしますね。」


ソイラテ菊池「それは今まで聞いた話の中にはなかった話ですね。結構、みんなでつくるか、リーダーがつくったやつを提示して意見とか修正しながら、方向性を合わせるみたいなのあるかなと思っていました。一般的にみんなを導く明確な目標を描き示すことが組織のリーダーの役割だと思われているけれど、リーダーがその期待を勇気をもって手放して、メンバーに目標を描いてもらった。でもそれってリーダーの仕事だと思っているであろうメンバーのみなさんは、抵抗感なくスムーズに目標を描くことはできたのでしょうか?」


小沼さん「プロセスで言うと、みんなで作り直ししたんですけど、それで出てくるものとかミッションも実際変えて、センテンスも変えました。でもその出てきたセンテンスを出すときになんて言ったかっていうところが、ちょうどチャートがあるんでお見せしますけど...ここからみんなで決めたこれは曖昧だよねっていう、みんなで認めようと言った。



ここに答えがあるっていうマインドセットが変わらないと、うちはどうせ苦しくなるという話を共有することを同時に行いました。」


ソイラテ砂川「めっちゃわかります。関さん(小沼さんとの共通の知り合い・コードフォージャパン代表)なら絶対そんなん言えないやろなって(笑)」


小沼さん「そう言わざるをえないくらい自分もチームも追い込まれていました。事業も今年めちゃめちゃ変わったんですけど、それは変えようと思って変えたんではなく、変わらざるをえなかった。」


ソイラテ菊池「そうか、なるほど。本来であればインパクトやロジックモデルは、目指すべき将来の理想像(目標)を設定して、現在の活動と目標がどのようにつながっていくのかを示すように使われるけど、そもそもの目標を明確に設定せずに多様な活動の実践と振り返り(まなび)を繰り返しながら目標の解像度を上げていこうという使い方が新しいですね。」




価値創造型NPOというブレイクスルー


小沼さん「元かものはしプロジェクトで、いまは様々なNPOのコンサルティングを手掛けているコ山元圭太さんに教えてもらったのが上の図で、NPOなど社会課題に取り組む組織にも2つのパターンがあって、ゴールが明確な課題解決型と曖昧模糊とした方の中で価値をつくっていくという価値創造型という2つがある。


例えばかものはしプロジェクト*のような課題解決型の組織だったら、カンボジアの児童買春がなくなったらゴール、それに向けて事業を集中していわゆるウォーターフォールモデルでいろいろつくっていけるみたいな感じがあって、だから計画も大事で管理していって、1人1人は「あなたはこれやって」「あなたはこれやって」、これやってきたら足し算していったらここゴール、この年までっていける。


*かものはしプロジェクト https://www.kamonohashi-project.net/


一方でミラツク*、ETIC.*やクロスフィールズは方角は描けているけれど、一体何がビジョンか?と、メンバーに聞くと全員違う考えを持っている。事業も多様でいろんなものを試して、アジャイルにやっていく。そんな形なので組織内のコミュニケーションも「そっちの業務、手伝えそうだからサポートするね」「この話、事業化できそうだからやってみようよ」と、なっていって。「みんなで決めたゴールの達成」を手放したら1人1人の自律度があがって、組織としてまとまりが生まれた感じがします。


*ミラツク https://emerging-future.org/ *ETIC. https://www.etic.or.jp/ 「クロスフィールズは価値創造型だ」ということはすでに働いているスタッフだけでなく、未来のメンバーにも伝えるようにしています。採用面接のときには、「うちは成果が見える形で社会課題を解決する組織ではないですよ」ってお伝えするようになったんです。」




社会のあり方をみて、どんどん新しい価値を見出すことが大事


小沼さん「「価値創造型と入団前に伝えることはとても大事ですね。それをするようになってから、答えがわからなくても色んな事業をやっていきたい。クリエイティビティを発揮したい。そんな人が以前よりもジョインしてくれてると感じています。


それをもとに、価値創造型と課題解決型があるとしたら、クロスフィールズは0か100じゃないんですけど、価値創造寄りです。これは決して課題解決型を否定しているわけではなく、ときには明確に定義してバックキャスティングすることもあるけれど、それ以上に社会の在り方を今見てどんどんどんどん新しい価値を生んでいくのが大事だと考えています。 もちろん一定以上の仮説を持ってPDCAを回すのは大事なんだけれども、うちの場合は答えは出なくて、このやり方でちゃんとPDCAを回しながらアジャイルにやっていった先に新しい未来をつくり上げていくというスタイルで進みます、とメンバーに話しました。すごく勇気が必要だったのですが、そう話してからはメンバーの足並みが揃うようになりました。*」


*このあたりはご自身のnoteの記事「NPO経営者としての10年の旅路を6000字で振り返る|小沼大地 | Daichi Konuma|note」が詳しいです。 https://note.com/daichi0715/n/n6d3459b8b1fd



ソイラテ菊池「言うのに勇気が必要だったと話されていましたが、何に対する恐怖だったんですか?」


小沼さん「僕は結構関係性が大事な人間で、割とメンバーからどう思われるかとか、人からどう思われるかが良くも悪くもドライブになる人間なんです。ひとつひとつメンバーの感情みたいなものに振られちゃうところがあって、答えが欲しいと言っているメンバーが割といる中でこれを言うのは勇気がいります。」


ソイラテ菊池「そうですよね。」


小沼さん「今だったらみんなが「自分たちは価値創造をしている」という意識があるのでいいのですが、当時はそうじゃなかった。なかには「課題解決型でいきたい」ってメンバーもいたんです。その状況で「価値創造型だ」と明確に組織のポジションを伝えるのは勇気が必要でした。結構大きな事業戦略転換でしたね。」


ソイラテ菊池「うちも最近新しく関わってくれる人によく最初に言うのが、僕は山登りの経営はできないので、川下りの経営でやってるので、ビジョンを明確に示して、登り方を示して、さあみんなで登ろうというのは僕全然できなくて。そういう意味で言うとなんかちょっと、今勇気をいただきました。もっと明確に言おうと思いました。」


小沼さん「そうですね。たださっきも0:100じゃないと言ったんですけど、一方でインパクトモデルをつくろうとか、そういったことは当然やっていく。それを100%できるのを待とうとか、そういうのはやめよう、っていう感じですね。」


ソイラテ菊池「そうですね〜。終わらないですよね。作り始めると。」


小沼さん「終わらないし、なんとなく納得いかないところが必ず出たりするし、かつやっていると崩れたりとかするじゃないですか。」


ソイラテ菊池「完成を目指さない。手段としては使うけど。」


小沼さん「そうですね、システム思考を使ったり、いわゆるU理論的に自分の在り方とか見直すのって、ずっとそれをやってると訳がわからなくなっちゃうところがあって、インパクトマップを含めた定型化されたフレームワークは『なんか方向性違うな』って思った時に深く潜ってみるときのツールかなと思います。


それで言うと実際僕が新規事業を立ち上げる時とかには、theory of change とかインパクトモデルはツールとしてはすごく使っています。毎年のPDCA的なチェックで使っているというよりは、3~5年のスパンで『僕らがやってきたことってどんなインパクトにつながってるんだろう』というようなレベルの議論するときに『僕らのインプットとアウトプットとアウトカムはこんな感じだったよね』っていうのを見て、『もっとこっち側のアウトカムが必要じゃない?』とか、『こういうインパクトに向かっても仕方ないよね』っていう戦略議論で僕らは使っていたイメージがあるような気がします。」


ソイラテ菊池「深く潜りますよね。」


小沼さん「そうそう、常にあれやってると死ぬじゃないですか。」


ソイラテ菊池「空気吸わなきゃってなりますよね。」


小沼さん「普段やってることに対しての信頼が落ちちゃったりする副作用もすごいあるので。」


ソイラテ菊池「何か良くわからない時に深く潜るためのツール。もうなんか僕の中で、めっちゃ名言です、これ。確かに3〜5年くらいのスパンで方向性確認する、大事ですね。」


小沼さん「常にそもそもって言う感じを禁止な感じにしたい。そもそもってU理論的なアプローチの言語だと思っています。毎日言っても辛い。たまにやるけど。」


ソイラテ菊池「その深く潜るところでいうとISLの大学院大学『至善館』に行かれた際のインタビューを拝見すると、このままだと息切れするかもと発言されていますが、あれはどういう危機感があったんですか?」 小沼さん「当時は立ち止まざるをえなかった時期だったこともあり、組織の代表者としてのフレームとは別に、ひとりの人間として自分自身の中に深くもぐらなければいけないと思っていました。


来年創業10年で、自分もそろそろ40代が見えてくる。ライフステージもかなり変わってくる中、このままずっと「クロスフィールズの代表」を務めていく。至善館に入る前はこんな風に疑いなく未来を描いていました。でもあるとき、この未来を「あえて疑ってみよう」と思ったんです。「クロスフィールズの代表」という帽子を一度外し、「人間・小沼」として何をしたいのかを徹底的に考えることを、一度やってみたかったです。


やっぱり経営しながらだと常に「クロスフィールズの経営者」としてのレンズをつけて物事を見ちゃうんですよね。そのレンズの広がりは日々拡大していって欲しいもけれど、創業からずっと「経営者」レンズからしか世界を見ていませんでした。そのレンズを外した時に一体何が見えるのかやってみたい。やるんだったら思い切り深く潜りたい。そんな時にたまたま至善館が開校するって聞いて、行ってみようとなったんです。」


ソイラテ菊池「確かにそうですね、常に考えたりインプットしているの、仕事の枠組みでやっちゃいますよね。僕自身もそうですが、アート鑑賞などの感覚的なものから読書などの意識的なものまで、すべてのインプットは『フードピクトやインターナショクナルが取り組んでいる事業のこれに活かせそうだな』という枠組みで受け入れてしまっていて、仕事から離れた人間菊池としてのインプットの機会は少ないように感じています。」


小沼さん「そうですそうです、これって仕事にどう使えるかってなると、潜り方が浅くなる。そうじゃなく、自分の人生っていう観点でやるともう1段深く思考することができる。」


ソイラテ菊池「僕は至善館のプログラムと小沼さんのレポートを拝見してて、すごく興味があるのが、僕もNPOでスタートして、NPOはNPOの価値があると思いつつ、でも事業はBtoBだから、NPO法人の説明コストが高すぎて、会社に切り離したりする一方で、小沼さんはNPO法人であることの価値とか、資本主義の矛盾を正したいというか、社会の歪みがあるみたいなことを最近発信されてるじゃないですか。あれってやっぱり至善館の学びを得てのことですか?」


小沼さん「それは間違いなくそうですね。もともと思ったところではあるんですけど、確実に言葉はシャープになりました。資本主義ってなんかおかしいと昔から思っていたけれど、資本主義とは一体何なのかというところの解像度は低かった。ありとあらゆる角度から資本主義について勉強したので、資本主義の意義と矛盾について、かなり思考が深まりましたね。」


ソイラテ菊池「そこの矛盾というか歪みって、一言で言うと何なんですか?」


小沼さん「分断と顔の見えなさの2つだと思います。簡単にいうと分断の方はものすごく搾取して勝つ人とそうじゃない人が生まれてしまう構造です。経済全体ではこの300年くらいでグーっと良くなっているものの、その狭間ができてしまって、勝ち組と負け組をつくってしまって、負け組がものすごく損をする制度です。


それを加速するような仕組みが金融とかいろいろな形でできている。僕はその極の国であるシリアに行ったり、一方でマッキンゼー出身だったりするので、ある意味どちらの世界も見ている。資本主義の歪みが、社会の「分断」を生んでしまっていることを実体験として感じてきたように思います。


もう一つは「人と人があたたかさを持ってつながる」ことの大切さ。顔が見える関係性を保つのって人間にとって大事なんだと思うんです。例えば生産する人と消費する人の距離感とかが、産業の発展とともに離れてきてしまっているんですよね。


コンビニ的なシステムだったり、グローバリゼーションの負の側面によって、消費者と生産者の顔が見えなくなってきて、どんどん分業になり、ついには1人1人の人間が『自分はなんのためにいるんだっけ?』というところまで行ってしまって、人間の感情が劣化していき、それがいろいろな課題を生んでいく。


人が物になっていくみたいなところ。人が交換可能なものになってしまっている。誰でもいいという関係性の世の中をつくってしまった。それを正すという挑戦にクロスフィールズがどう取り組むのか。それが、これからの自分自身のチャレンジになりました。」




資本主義のルールに支配されていない人たちが、世の中にNOと言っていく仕組みが大事


ソイラテ菊池「そのチャレンジは『NPOでやりたい』ということですよね?」


小沼さん「そうですね。資本主義というものの中に資本主義のルールでは支配されていない僕たちがちゃんとNOを世の中に言っていく仕組みが大事だと思っています。 それでいうとNPOはすごく面白い可能性のあるツールなので、そこがどう世の中にファンクションしていくか、資本主義社会・民主主義社会の歪みを直す存在としての市民活動の価値だったりするのかなと思うので、民間によるパブリックな活動が、資本主義がつくってきた抜け穴をどうやって埋めていくのかを追っていくのがすごく大事。というところでいうと非営利の活動・市民の活動はとても大事だと思い直しました。

なので、かつて僕は『資本主義をなくせ』と考えていた節もあった。でも今は「資本主義はいい部分もある。でも、まずい部分も多々あるから、それを直そう」という感じに変わったのが大きかったです。」


ソイラテ菊池「僕も会社と切り離して今まだ4年目なんですけど、資本主義というかいわゆる出資とかの世界の近くにいるので、そこのダイナミックなお金の流れとか時間のスピード感とかの良さも感じつつ、一方でそこに対して距離を置いている自分もいて、すごい納得でした今の話。」


小沼さん「結構天邪鬼なので、NPOっぽいNPOより、株式会社っぽいNPOとか、NPOっぽい株式会社に憧れてたところもあって。それでいうと、NPOなのにスタートアップのように成長したりスケールするみたいな、そういうモデルをつくっていくと結果的にNPOが多様になっていくんだろうなって思います。そういうことやろうと思ってる人ってあんまりいないだろうなって思うと、そこで自分たちは突き抜けていこうみたいなことを最近はチームでも話しています。」


ソイラテ菊池「ありがとうございました。」



 


NPOやソーシャルビジネスの分野で活動をしていると「理念は何だ? ビジョンを描け! 目標からするべきことを逆算しよう」みたいなことを頻繁に言われます。


もちろん言葉にしたり描いたりできると周りの人には分かりやすいですが、分かりやすさを優先しすぎるあまり言葉から魂が抜けてしまったり、何か大切なものを落としたり排除してしまう可能性があると感じていました。


この僕のモヤモヤをご自身の経験と明瞭な分析力をもってクリアに説明してくれた小沼さん。分からないことは分からないと言ってみることから、みなさんの活動もステップアップや新しい展開につながるのかもしれません。

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