神戸を中心に活動する社会起業家や市民団体の関係者で始めた勉強会です。
気軽にはじめた活動でしたが、気づけば二年間で数十回の意見交換や打ち合わせ、諸先輩方へのインタビューを行なっていて、自分たちの考え方もどんどん変化していった気がします。
また「ソイラテ」での活動だけでなく、みんな学んだことを自身の事業に置き換え「ソーシャルインパクト評価ってどうやって使うんだろう」「自分たちのやっている事業を客観的に見てみよう」「そもそもソーシャルインパクトって何だろう」とさらに深く考えてきました。
結局いまも「ソーシャルインパクトって何だろう」というモヤモヤがくっきり晴れたわけではありませんが、いろいろな人たちに話を聞いて「いまの自分たちなりの考えをまとめてみるのもいいかな」と思い、今回サイトを公開することにしてみました。
ちなみに「ソイラテ」の由来は、So I Ra Te (Social Impact Research and Technology)
の略で、お察しの通りあと付けです(笑)

なぜ今ソーシャルインパクトを考えるのか
ソーシャルインパクトとは、事業活動が社会に与える影響のことです。
「ソーシャルインパクトを考える」というのは、自分たちの活動の価値をアウトプット(結果)だけで考えるのではなく、その結果がもたらすアウトカム(成果)、そしてその先にあるインパクト(アウトカムが社会に与える変化)にまで視野を広げて考えるということです。
例えば、SDGsについて学んでもらうイベントを開催した時に、何人参加したかというアウトプットだけではなく、参加者にどんな変化があったかというアウトカム、そしてその変化した参加者たちがその身の回りの社会に対してどのような働きかけをして、どのような変化をもたらすのかというインパクト、ということまで視野に入れて考えるのが「ソーシャルインパクトを考える」ということになります。
ソーシャルインパクトは、一つの事業が社会にどのような影響を与えて社会課題を解決するのかを評価してその事業の価値を測り、投資や寄付、補助金交付などを行うかどうかを判断するために使われることが多いです。
ですが「社会に影響を与える」という言葉から想像されるような、大きな事業、あるいは社会課題解決に直結するような社会的活動だけがこのソーシャルインパクトの範疇ではなくて、家の前のゴミを拾うことや、まちのたこ焼き屋さんのようなスモールビジネスも社会に影響を与えていて、ソーシャルインパクトについて語ることができるのです。
私たちソイラテがソーシャルインパクトについて学びたいと考えたのも、まさにそういったソーシャルインパクトの可能性を感じたからです。関わっている人数や予算だけを見て「私たちのやっていることなんて小さなことなんです…」って思っている活動が、ソーシャルインパクトを考えてみたら実はものすごく大事な活動だったということが見えてくる。
そんなことが起きるんじゃないか、起こせるんじゃないかと思い、ソイラテはソーシャルインパクトについて学んでいく活動をスタートさせました。

どうして、ソーシャルインパクトが大事なのか。
それはとっても単純で、売り上げを上げることだけがすべてじゃないって考える人が増えてきたからです。事業をやっている団体や会社、個人事業主は勿論、消費者も行政も投資家もそう考えるようになってきています。
人口減少、少子高齢化、グローバル競争の中で、右肩上がりの経済を描くことだけが正解ではなくなっています。一つの事業で生まれるお金以外の多種多様な成果を測ることができる、それがソーシャルインパクトです。
私たちは、ソーシャルインパクトについて学びたくて、全国各地の事例を見に行きました。
広島の尾道では、お酢屋さんが橙農家さんの廃棄される橙を使って商品を作っていたり、飲食業者さんがまちづくりをしてました。秋田ではNPOで働いていた人が議員になったり、鹿児島では保育園がお総菜屋さんをやっていました。
みんな、ソーシャルインパクトという言葉を使っていたりいなかったり。投資を受けていたり、受けていなかったり。
それぞれのスタイルで活躍されていましたが共通していたのは、売上から現在の状態を知るそろばんや電卓だけでなく、その状態をどうしていけばいいのか、自分たちがどこに向かっているのかを指し示す「コンパス」を持っているということでした。
しかも、そのコンパスを自分だけで持つのではなく、自分の会社の人や社外の仲間たち、時にはお客さんにも見せて「みんなで同じものを目指す」「夢を見るため」に使っていました。
「ソーシャルインパクトを考える」ということの意義はまさにこの「コンパス」を手に入れることにあるんだということを、私たちは全国の人たちから学んできました。
